マジックストーン

 しゃくり上げながら言った優衣ちゃんはさらに涙を零しながら、両手で顔を覆った。

 ひくっひくっと泣く優衣ちゃんをそっと抱きしめた俺は、ふわふわした髪の毛を優しく撫でる。

「違う違う。梨海ちゃんはそういう意味で言ったんじゃないよ?」

「……じゃあ、どういう――」

 優衣ちゃんの言葉を遮り、明るいオルゴールの音が聞こえる。

「きっと梨海ちゃんだよ。たぶんメールだから、早く見な?」

 震える手でやっと取り出した携帯を見つめた優衣ちゃんは、ふにゃりと微笑んだ。

「……[あたしは優衣の味方だから。あんなちゃらんぽらんに騙されるんじゃないわよ!]……だそう、で、す……っ」

 安心したような笑う優衣ちゃんの頭を撫でつつも、それ本人目の前にして言っちゃう? なんて考えたけど。

 天然なんだっけ。

 再び頬を伝う涙を一生懸命拭う優衣ちゃんは、これでもかってくらいの弾けた笑顔を俺に向けた。

「神崎先輩!安心して下さいっ。私、騙されませんから!」

 …………。

 騙すつもりはないけど、俺安心出来ないよねぇ? ねぇっ?

 っていうか、梨海ちゃんの言うちゃらんぽらんって俺のことなんじゃないの?

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