マジックストーン
優衣ちゃんの天然度ってもしかしてヤバイ?
イコール、梨海ちゃんの手助けがなきゃ優衣ちゃんをオトすのは難しいのか?
「……き先輩。 神崎先輩っ」
疑問符だらけの俺の頭の中に飛び込んできたのは、可愛い声。それから、心配そうな優衣ちゃんの顔………っ。
「うっわあぁぁっ!」
「―――っ?!!」
びくっと体を震わせた優衣ちゃんは、鞄を落とした。
「かっ……わたしっ………なっ?!」
「ごめっ!ちょっと考え事してた。驚かせてごめん」
落ちた鞄を拾い、汚れを手で払ってから優衣ちゃんに渡せば、いまだ動揺した感じで「あ、ありがとうございます」と呟いた。
「し、心臓止まるかと思いました……」
胸に手のひらをあてて、ゆっくりと息を吐く優衣ちゃん。その胸にあてている手のひらは、白くて小さくて、とてもピアノを弾いている子とは思えない。
優衣ちゃんの手の甲に優しく触れた俺を、不思議そうに頭を傾ける。