マジックストーン

「梨海ちゃーん!」

「うわ! びっくりするくらいビブスが似合わないわね」

 ニカッと笑う梨海ちゃんは私の頭をぽんぽんと撫でた後。

「さっ!3年だからって負けないんだから!」

 パンパンっと手を叩いて、メンバーの子とハイタッチをしていく梨海ちゃん。

 オレンジと茶色の中間色のボールが宙を舞いゲームスタート。

 ボールの弾む音とシューズが擦れる音が心地よいほどに体に響く。

「はい!優衣っ!」

 飛んできたボールをしっかりと両手で掴み、リズムよくドリブルしゴール手前までやってきた。

 さすがにシュートはできない。そう思って周りを見ると、ちょうど私の反対側に梨海ちゃんが、両手を広げていた。

 ワンバンで梨海ちゃんにパスすれば、スリーポイントシュート。

 わあっ!と盛り上がってから、私は交代し、応援に回った。

 茶髪に巻き髪の梨海ちゃんは、見た目と違って(なんて言ったら失礼なんだけどね?)中身はしっかりしてるの。

 実際、こうやってスポーツは得意だし、学年で1番になるくらい頭だって良い。それに、今月で半年になる年上の彼氏さんだっているの。

< 97 / 275 >

この作品をシェア

pagetop