君色
キーンコーンカーンコーン。
オリジンの授業はあっという間に終わりを告げる。
そりゃそうだ。
8割方おしゃべりで終わったんだから。
しかし当然の事ながら、気楽な授業があれば苦痛な授業もある。
問題なのは次だ。
数学の武藤の講義は課題をやってきても毎回気が重くなった。
「次数学だよぉ…樹里課題やってきたぁ?」
「やって来たに決まってんじゃん。あの武藤だよ?そんな命知らずいるのかね」
「だよねぇ…」
武藤は女のクセにやたらとガタイがいい。
なんで教師になったのか不思議なくらいだ。
そしてなんと言ってもその驚異の発声とバカぢから。
殴られたりはしないけど
あいつが軽くポンと肩をどつくだけでも、生徒にとっちゃ猪木に渇を入れられるくらいの威力を持つ事に本人は気づいていない。
必要以上に近づいて話されると、鼓膜も破かれる勢いだった。
だからみんな、こいつの授業だけは借りてきた猫のようにおとなしく受ける。
ちゃっかりしてるよね、人間て。