君色
「でも先生の場合、マニュアルっつーかジャージ何とかしないとでしょ」
面接はスーツで行くにしたって私服があれじゃ…
「何でだよ?ジャージだめか?」
「ダメだろ!!」
どんだけジャージ好きなんだよ。
「そうか…」
…そんなイジけたような顔しやがって。
俺が意地悪言ってるみたいじゃん。
「…受かろーな」
「え?」
「二人で受かって、二人でお祝いしよ」
「…うん!」
俺の思い込みかもしれないが、あの大晦日の日以来片桐はよく笑うようになった気がした。
少しは、教師と生徒の壁を壊せたかな。
あ、来年には、先生じゃなくなってんのか。
それはそれで、ちょっとだけ複雑だった。
俺が出会ったのは教師である片桐円で、それ以外の片桐円を知らないから不安なのかもしれない。
そうやって、少しずつ何かが変わっていく事を恐れているのかもしれない。
姿かたちは変わっても
心は変わらないままでいられたらいいのに。
そうゆう保証があったらいいのにな。