君色


「どーだったよ?」


…相変わらずの爽やかな笑顔だな。


「とーぜん合格。中野は?」

「もち合格!学校別々になっちまうけど、たまには遊んだりしよーぜ」

「おう」


この時はまだ、中野と同じ高校に通う事になるなんて

生まれ育ったこの町を離れる事になるだなんて、夢にも思っていなかった。


「そういえば、片桐先生とはどうなの?」

「今日、一緒にお祝いする」

「そっかー、プラトニックなんてお前に出来るわけないと思ってたけど、頑張ってるんだなぁ!!」


失礼な。

こう見えても俺は純情なんだ。


「向こうも3日前くらいに内定決まったらしい」

「あぁ、出版社?」

「うん」

「なんつーか意外だよな、出版社なんて。キャラじゃないっつーか」


それは俺も同意見。

でも…あんなに意気込んでる本人を前にしてそんな事言えねぇよ。


だから、俺だけは応援してあげようと思う。


たとえうまくいかなかったとしても、その時は思いっきり慰めてやればいいじゃないか。


そう思う事にした。
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