君色
仕事が終わってタイムカードをきると、俺はすぐさま携帯をチェックしにスタッフルームまで走る。
これは毎度の事。
メールも電話もなし…。
そしてこうして落ち込むのも毎度の事だった。
「はぁ〜〜……」
俺はガシガシと乱暴に髪をかきみだしながら長めの溜め息をついた。
いや、忙しいのは分かるよ。
始めたばかりの慣れない職場で大変なのも分かる。
でも…ちょっと放置しすぎじゃね!?
恋人になる事は、ゴールじゃなくてスタートだったんだな…。
恋人になれば、不安要素が全部取り除かれるんだって思ってた。
でもそうじゃなかった……。
「こんなはずじゃ…なかったんだけどな…」
なんか最近うまくいかない事ばかりだ。
「何がこんなはずじゃなかったの?」
「わっ…」
ビ…ビックリしたなぁ!もう!!
そこに居たのは牧野千鶴という女だった。