君色


始業ベルが響き渡ると、あたしは机の中をあさり、数学の授業の準備をする。


ちゃーんと宿題もやってきたし、持ち物チェックもしたし大丈夫……



!!!????


ない!!
持ってきたはずの数学のノートが…


なんで!?絶対もってきたはずなのに…!!




ガラッ!!!!!



勢いよく教室のドアを開かれる音と同時に、あたしの体も震え上がる。



ヤバイ、ヤバイ。
どうしよう…。



「さぁーーー授業を始める!!!まさかと思うが、忘れ物なんかした奴はいないよなぁっっ!!?」



なんとか誤魔化しきるか…
それとも正直に言ってしまうか…



考えるや否や、あたしの右手はふるふると小刻みに震えながらどんどんあがっていく。


もうそれは無意識だった。


「いーーーちーーーーかーーーーわーーーー!!!!」



キーーーーン。

力いっぱいふさいでもモロに響く武藤の声。



勘弁してよ…



結局あたしは一発どつかれ、ジンジンする肩をかばいながら50分間立って授業を受ける事になった。
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