君色


「…他の学校に男がいるクセに、北斗さんにつきまとってどういうつもり!?」

真ん中の、いかにも性格の悪そうな女がそう言った。


…なんでコイツ俺の名前知ってんだ?キモい!!



「つーかどけよ。通れねぇだろ」


俺がその女に一睨みきかせると、女は一瞬後ずさりしたが、負けずと食い下がってきた。


「北斗さんはお先に行っててください。あたし達はこの女に用があるので」


そいつが手を伸ばしてチィの腕を掴もうとした瞬間、


「触んじゃねぇよ!!!ブス!!!」



俺は無意識にそう叫んでいた。


登校してくる生徒達で賑わっていた廊下が一気にしーんとなり、視線が俺たちに降り注いだ。
< 112 / 270 >

この作品をシェア

pagetop