君色
「野々宮さん…って言うんだけどさ、あの人。中学の時からあたしより上にいないと気がすまない人でさ。ほら、あたしこんなだから妙に目立つじゃない?それが…気に入らなかったんだと思うんだ」
要するに野々宮という奴はただの目立ちたがり屋か。
「今回…あたしが大手モデル事務所のオーディションに合格して、野々宮さんが落ちちゃったから、彼女の神経を逆撫でしちゃったのかも…」
チィはへらへらと笑いながらそう言った。
なんだそれ。
ただの僻みじゃん。
「チィが可愛いから妬んでんだな」
「え……?」
「今度なんかされそうになったら俺に言え。ぶっ飛ばしに行ってやるから」
「う……うん…」
俺のダチの女にカラもうなんていい度胸してんじゃねぇか。
中野がここに居ない分、俺が守ってやんないとな。
こいつには借りもあるし。
「ん?何かお前顔赤くねーか?」
「そっ…そんな事ないよっ」
一時間だけ屋上でくつろいだ後、俺たちはバラバラに教室に戻った。