君色
チラっと横目で須往を見る。
…………ん!!?
須往の手元にあるノート、もの凄く見覚えが…。
その時、須往があたしの視線に気づいたのか、こっちを見てニヤッと笑った。
コ、コイツ……
やりやがった!!!!!
さっきサボッてる間にあたしの机から数学のノート抜き取ったんだ!!
あたしの中で何かが割れる音がした。
「もぉ〜〜樹里ってばぁ。どうしたの?そんな般若みたいな顔しちゃってさー」
昼休みになっても怒りがおさまらないあたしを日向がなだめる。
「あたし…ここまで誰かに腹を立てたの初めて」
「はぁ??」
「須往!!あいつあたしの数学のノート盗んだのっ!!」
「あらら。缶ジュースの恨みかね」
「もぉ〜〜絶対許さないっ!!!」
「許さないってどうするの?」
「次、男子はバスケの時間でしょ?」
あたしは、男子と女子が別々になる体育の授業を見計らって、
須往の靴を絶対に見つからないような場所に隠してやった。