君色
息を切らしながらマンションの部屋まで行くが、ベルを鳴らしても彼女は出てきてくれない。
うわぁ…完璧に怒ってらっしゃる…。
「まどか〜〜〜…開けてよ」
「………」
最終的にはドア越しに交渉を開始する始末。
こんなかっこ悪い姿誰にも見られたくない。
やっと会えたってのにコレかよ…。
「さっきの子とは別に何でもないから!マジで!つーかさ、来るなら来るで一言連絡してくれればいいじゃん!急に来るからビックリしたよ」
……あ、コレはマズかったかな?
「………ごめん。でも嬉しかったよ、会いに来てくれた事。俺だってずっと会いたかったし…。
ねぇ…ドア開けてよ…
抱きしめさせて…」
一分一秒でも早く触れたい…。
一分一秒でも長く一緒にいたいんだ…。
その時、遠慮がちに玄関のドアが開かれ
「………お隣さんから…苦情が来ちゃうだろっ…」
と言いながら、微妙に両頬を膨らませている円がそこにいた。