君色


やべぇ…。

チョー可愛い。


俺は何も言わず、力一杯円を抱き締める。

円もそれに応じて来た。


今までの距離を埋めるかのように、俺たちはしばらくの間、無言で温もりを確かめ合っていた。




「…何で逃げたりしたの?」

その沈黙を最初に破ったのは俺の方だった。

「だ…だって…」

「浮気してるかと思った?」

「そっ…そんなんじゃないよ別にっ」


なんだ、違うのかよ!
ヤキモチ妬いてくれたのかと思ったのに!


俺は自分の腕に閉じ込めていた円の体を開放した。
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