君色


「俺、円と会えなくて寂しかったのに」

「え?」

「何かいっつも俺ばっか必死でムカツク」


あー何言ってんだ俺。

これじゃダダをこねてる子供と変わんねー。

大人になるって決めたのに。



ってか、大人になるって何だろう。


何が大人で何が子供?



「何か、調子狂うな…須往といると、あたし大人でいられなくなる」



本心隠して強がってるのが大人なのか?


もしもそれが大人だって言うなら、俺は大人になんかならなくていいと思う。



「いい歳してヤキモチ妬いて、取り乱す姿を見られるのが嫌だったんだよ。あたしがそんなのむき出しにしても、全然可愛くないし!第一キャラじゃないし!」

「寂しいよ…そんなの。俺の前で無理したりしないで欲しい」


会いたい時に会いたいって言えないなんておかしいでしょ。

ワガママでもいいじゃん。
困らせてもいいじゃん。

代わりなんていないんだ。


このもどかしい程に曇った心を晴らすのは

君にしか出来ない事だから


「…本当は…あたしもずっと会いたかったよ…」


俺たちは再び強く抱きしめあった。
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