君色
「ねぇ…今何時?」
俺がふと思い立ったように時間を尋ねると
「10時半だけど…」
と不思議そうに円が答える。
よし!まだギリギリ間に合う!
「明日仕事なんだよね?じゃあ…これからの時間は俺にちょうだい」
「え?」
「いいから来て」
俺は戸惑う円の手を引いて、瓦坂の駅前にやってきた。
円の家から駅までは走って5分くらい。
まだ、ちらほらと、お店やレジャースペースを囲むカップルの姿があった。
ここは閉館が11時なのだ。
「観覧車乗ろうよ」
昼間はある程度並ばないと乗れない観覧車だけど、時間も時間だったからかアッサリと俺たちはゴンドラに案内された。