君色
やがて閉館の時間が訪れ、俺たちはそこから追い出される羽目になってしまった。
「走るか!」
まぁそんな遠い距離でもないし!
と思ってナメてかかったのが運のつき。
円のマンションに到着した時はすでに、全身水浸しだった。
「じゃ、俺行くから。明日からまた仕事頑張ってね」
円を送り届け、俺はその足で自宅に帰ろうとした。
「え?そのまま帰るの?」
洗面所から大きめのタオルを持ち出してきた円が、それで俺の髪を無造作にこねくりまわした。
タオルの隙間から覗く円の身体は、水分効果なのかいつになく色っぽく見える。
俺は、円の身体を自分の身体に押し付けるようにして抱きしめた。