君色


本当は瓦坂駅前の時計塔で20時という約束だったけれど、どうやらそれに間に合わない上、終わる時間が読めないというのだ。


まぁ…すごくショックだったけど、こういう事もまったく予想していなかった訳じゃないし、円も本当に申し訳なさそうだったので、許す事にした。




「…いいよ。何時間かかっても。でも絶対会いたいから終わったら電話して?」

『でも、日変わっちゃうかもしれないよ?』

「それでもいい。それでも会いたいから絶対終わったら電話して!」

『わかった。そう言ってくれて嬉しいよ。あたしも会いたかったから…』




ズルイなぁ…。

そんな事言われたら怒りなんか吹っ飛んじゃうよ。



元気を少し取り戻せたところで

「また後で」

と一言添えると、同時に電話を切った。
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