君色


――とは言ったものの、俺はすっかりと時間をもてあましてしまっていた。


今日ばかりは中野やチィにかまってもらう訳にもいかない。



俺は観念して家で大人しく待っている事にした。



ベッドにゴロンと寝転がり、天井を見上げる。



もう三年も経つのかぁ…。


円と出会ってからの三年間、思い起こせば色んな事があった。


出会った頃は、まさかこんな関係になるなんて夢にも思わなかったよな…。

いっつも変なジャージにメガネかけてて、女のカケラも感じねぇ奴だって思ってたのに、今はそれなりに女らしい。


初めて円と過ごしたクリスマスは、とにかくドキドキしてたっけ。



あいつといると、いつも俺は新しい自分に出会えた。


何もかもが新鮮で、俺にもこんな気持ちがあったんだなぁって。

そう思えた。



もしも…あの冬に、円と出会っていなかったら


俺たちは一緒にいる事もなくて、

今でも…たった一人暗闇の中から抜け出せずにいたんだろうか…?
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