君色
「あ…」
そうだった。
円の家から駅までは近いけど、会社からだと結構距離があるんだった…。
どうも俺は円の事になると早とちりが得意になるようだ。
いつもは冷静なんだけどな。
「っくしゅっ」
寒い!!
白い吐息を凍える手に吹きかけながら、円の到着を待つが、短気な俺はシビレを切らして再び電話を手に取った。
『はい?』
「まだぁ!?」
『うっさいなー。今走ってるってば!』
「今どの辺?」
『今駅の近くのデニーズ通り越したとこ』
デニーズか。それなら後少しだ。
「電話はそのまま切らないで走ってきて」
『はぁ??余計な体力使わすなよっ。おばさんなんだから』
確かに円は息を切らして辛そうだった。