君色
「冷たいなぁー。俺どんだけ待たされてると思ってんの?」
『…っわかったよ、わかった!切らないでいればいんでしょ?』
俺は円のこういう所が大好きだ。
頬を膨らませながら、走って俺のもとへ向かってくる姿が自然と頭に浮かんでくる。
早く会いたい。
「今どこー?」
『今、駅前の交差点を――――――…』
キキィーーーーーーーーーーーーッ。
ゴトゴトッ。
次の瞬間、不吉な雑音と共に、二人を繋いでいた電波が強制的に絶たれた。
「まど…か?」
プーップーッという機会音が虚しく響く。
「おい、誰かがトラックにはねられたぞ」
「まぁ…可哀想に…」
「クリスマスなのにね…」
どっかの誰かのそんな会話が、耳を突き抜ける。