君色
―翌朝―
まだ完全に開ききれていない片目をこすりながら登校し、上履きに履き替えた瞬間…
グイッ。
誰かに腕を引っ張られ、壁に体を押し付けられた。
「す…須往!?」
目の前で青筋を立てながらあたしを押さえつけているその男は須往北斗に間違いなかった。
「てめぇだろ…俺の靴隠したの」
その瞬間、あたしは昨日の事を思い出す。
そういえば…靴、隠したままだったっけ!!
「す、すぐに返そうとは思ってたんだよ?ただ…」
「ただ!?」
須往北斗の顔が鋭い睨みをきかせたまま近づいてくる。
ど…どうでもいいけど顔が近いんですけどっ!!
顔と顔の距離の隙間が数センチも無い。
あと少しで唇が触れてしまいそうな距離だ。
その時…なぜかあたしは、ドキンドキンと胸を高鳴らせていた。