君色
「俺とチィで…先生の告別式出てきたから…。お通夜も無事、終わった」
「………………」
「なぁ…お前一体どうしちまったんだよ…?」
中野が一目見ておかしいと思うくらい、俺はどうかしちまってるのか…。
希望の光を見失って、自分の力で歩く事が出来なくなった。
それだけの事だ。
「ふぅ…」
中野はため息をつくと、上着の内ポケットからクシャクシャになった一通の手紙と、変形した小箱を俺に差し出した。
「本当は…お前が落ち着いたら渡そうと思ってたんだけど…」
俺は恐る恐るその小箱を手にし、そっと蓋を開けてみる。
中には俺が大好きなブランドのピアスが入っていた。
「それ…遺留品。バッグの中から出てきたらしいよ」
そして、震える手でピンクの封筒に入っていた中身を取り出し、目を通した。