君色


本当は俺自身、気持ちの整理がつけられなかったのかもしれない。


円を失ったというその現実を受け止めたくなかったんだ。




これは、クリスマスの前日に見た悪夢の続きで…


明日になれば、「ごめんごめん」って息を切らしながら


アイツは俺の前に現れるんだと…


そう信じたかったから――――――…。






「北斗…こっちに引っ越してこないか?」

「え……?」

「少し、ここを離れて、気持ちを整理するといいよ」


中野は、高校に入ってから隣の町で一人暮らしをしていた。


何故か俺も、そっちへ行きたいと思った。


そうしたら、この辛さから、罪の意識から、逃れる事が出来るんじゃないかと思ったからだ。
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