君色
ガラッ。


保健室のドアを開けると、4つ並んだベッドのうちの一つはクリーム色のカーテンに包まれていた。



あたしはそーっとそのカーテンをめくり、中に入って様子を覗う。



「北斗…」



きっと、悲しい夢でも見てるんだ…。


北斗の閉じられた瞳の先端に、涙が滲んでいた。



あたしはそっと、その涙を指で拭い、頬を撫でる。



「……ん」


その瞬間、北斗は眠りから醒め、まだ新しい涙の跡を光らせるあたしの目を見て


「…なんで泣いてんの?」


と首をかしげながら尋ねた。



「…もらい泣き」



あたしは無意識に手を伸ばし
北斗をギュッと抱きしめていた。




一人きりになりたがって、他人から距離を置こうとするクセに

本当は寂しくて寂しくて仕方ないって顔してる…。



どうして北斗が抱えてるものは、他の人よりちょっとだけ大きいんだろう。

どうしてちょっとだけ重いのかな。



こんなの…たった一人じゃ背負いきれないよ…。


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