君色
「山本に何か言われた?」

「!…相変わらずスルドイね、お前は」

「だってさっき二人が手つないで来た時あんまいい顔してなかったから。一瞬嫉妬か?とも思ったけど、彼女はそうゆうタイプじゃないしね」



中野のこうゆうところにはいつも驚かされる。



ボケーッとしてるようで意外と周りをしっかり見てるんだよな。



「ついでになんとなく何て言われたのかも予想がつくけど…当てたげよっか?」

「…いいよ。お前の勘は野生動物より的確だから」

「俺はさ、応援するから。今のお前には市川みたいな子が必要だよ。いいじゃん、自分の為に付き合ったって。

世の中のカップルは大体そんなヤツばっかだよ。
好きって気持ちだけじゃ一緒にいられない事だってあるんだし」

「あ………」



俺はチィの姿を頭に浮かべた。



中野にも辛い別れがあった事は俺もよく知ってる。



チィは結局、高校卒業を待たずに

フランスへと旅立って行ったのだ。

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