君色
「お前は潔癖な所があるからな。まずは片桐先生の事を緩和する事から始めないと、一生そのままだぞ」

「…それは嫌だ!!」

「まぁ俺のアドバイスも踏まえた上でもっかい自分でよく考えてみれば?」


中野はそう言い終えると、すっと立ち上がり、軽く両膝をはたいて校内へ入って行った。





“世の中のカップルはそんなヤツばっか”か…。



昔の俺なら…そんなの時間の無駄だって笑っただろうな。



人は傷付いた分だけ成長して大人になる。

でも…

大人になればなる程

見失っていくものも増えていく。


いつしか


傷付く事から逃げ

自分に嘘をつきながら生きていくようになる…。


今の俺がいい見本だ。


中野は…それでもいいんだって言ってくれたんだよな?



それも必要な事だって…。



「北斗!!」


突然目の前に息を切らした市川が現れた。

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