君色
探しまわってたといわんばかりの表情で、彼女は俺を真っ直ぐ見据える。


「日向の言った事なら気にしなくていいから!」

「……………」


「そりゃ…あたしだって北斗にはあたし自身を見て欲しいって思ってるけど…


それにはまずまどかを越えなくちゃいけないから。




だからさぁ!チャンスをくれないかな!?



改めて…

あたしと付き合って下さい!!」



「え………?」


「きっと毎日楽しくさせるし!悲しい顔なんてさせないよ!!約束する!!


…ダメかな?」



「ぶはっ。それ、普通男のセリフなんじゃないの?俺、こんな男らしい告白されたの初めて」



市川の男らしさには笑えたけど



嬉しかった。


こいつといれば、本当に辛い事もなにもかも忘れられそうな気がしたんだ。




「…捕まってみようかな」


前に進もう。


同じようには愛せないかもしれないけど


「俺にはお前が必要みたいだ」




五月晴れが広がる青空の下俺はやっと、どうしても進めなかった一歩を踏み出す事が出来たのだった。

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