君色
第十四話

甘い、午後

放心状態のまま、映画はラストを迎え、エンドロールが流れた。



内容なんてほぼ覚えていない。



今のあたしはそれどころじゃなかった。




ふと、隣にいる北斗の方に目をやると…


「…やっぱり寝てるし」


もう、怒る気にもなれなかった。




あたしが、手荷物を手早く準備して北斗の部屋を後にしようとした、その時。



「…もう帰んの?」



北斗が目を覚ました。

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