君色


「おせーんだよ。ノロマが」

むっかぁ。

「しょーがないでしょうよ、片付け長引いたんだから」


そんな憎まれ口を叩きあいながら、あたし達は駅前の携帯ショップへ向かう。



どうせなら一番高い最新機種にしてやろう。



ショーケースに並んだ最新機種を吟味し、「これにします」と店員さんに声をかけた。


「(俺に一言も相談ナシかよ!ま、いいけど)」



それは総額で4万円相当のものだったけれど、なんとヤツは顔色一つ変えずにキャッシュで会計を済ませたのだ。


ぼ…ぼんぼんなんだろうか…?

普通の高校生にとったら大金だよね…?



「あんたんち、金持ちなの?」

「あ?別に大した事ねぇよ」

「変な時期に転入してくるし、変わってるよね」

「お前も充分変わってっから心配すんな」

「はぁ!?チョー失礼!」


その時ふと、街に並ぶショーウインドウのガラスに映る自分の姿が目に入った。
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