君色


あたしたちって…周りから見たらカップルに見えたりするのかな?


デパートやら映画館やらが立ち並ぶ駅前には、幸せそうに行き交うカップル達の姿が目についた。


あたしは何を思ったのか、須往の腕を引っ張り、映画館の前へと誘導する。



「ねぇ、映画見ようよ」

「はぁ?」

「あたしコレ見たかったの」


それは最近話題の感動系ラブロマンスだ。


「なんでお前とこんなん見なきゃなんねんだよ!」

「何よーどぉせ暇でしょ!?」

「……………」

「はい♪決まりっ♪」



あたしは有無を言わさず半ば強引に須往を映画館の中に引きずり込んだ。


こいつの扱い方が少しわかった気がする。

無愛想で面倒くさがりやだけど、

きっとなんだかんだ



ワガママを聞いてくれるタイプ――――…
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