君色
俺と樹里が屋上へ向かうと当たり前だが山本と中野の姿がそこにあった。



しかし、なんだか山本の様子がおかしい。



「日向?なんか顔赤くない?」

「えっ、そっ…そうかなっ?」


しかも挙動不審…。


「中野!あんたが何かしたんじゃないでしょーねっ!?」

「なんもしてないよ?」



中野は妙にご機嫌だった。


そんな時、ふと、



―俺も彼女欲しくなっちゃったなぁ―



という中野の言葉が俺の脳裏を通過する。




(ははーん…そういう事ね)


俺がニヤニヤしながら中野の方を見ると、奴はニカッと笑ってVサインを返して来た。




ある晴れた日の午後――


こうしてまたひとつ、小さな恋の物語りが生まれたのだった。


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