君色
「北斗ーーーーー」
いつもは俺が遅れて来るのだが、今日くらいは先に行ってやってもいいかなと思ったので
待ち合わせの時間の10分ほど前には待ち合わせ場所に到着していた。
相手を待つ、というのもなかなか悪くない。
「あれ?なんか今日のカッコいつもとちがくない?」
「うん、ちょっと大人っぽく見えるでしょ?」
どちらかと言えばいつもギャルっぽい服装をしている樹里が、今日は胸のあいた黒いロングのワンピースを着ていた。
その見慣れない雰囲気に、俺は少し戸惑う。
でも、そんなわずかな変化なんて、大した事じゃないと
この時はまだそう思っていたんだ…。