君色
「じゃ、いこっか」


当たり前のように手を繋いで、電車に乗り込み、ものの数分で目的地まで到着した。

まぁ、隣だからね。



「今日も人がいっぱいいるー!」

「人が少なかった時があんまないよ」



いつぞやと同じ風景。

夜の始まり頃だというのもお構いなしに、カップルやら家族連れでそこは賑わっていた。



「綺麗ーーーーー…やっぱり昼間とはだいぶ雰囲気違うね」



色とりどりの光を宿した観覧車は、夜の闇を照らすように、七色に光り輝いている。




女ってこういうの好きだよな。


まぁ、感動してくれたんなら良かったけど。



頬を赤く染めながら、目をキラキラさせて観覧車を見つめる樹里を
俺は横目で追いながら、つられて顔をほころばせる。



ゴンドラに案内されるまで、その視線はずっと光り輝く観覧車に向けられていた。


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