君色
「わぁーーーーーー!!見てみて!凄い!!なんか宝石箱みたいっ!!」
樹里がゴンドラの中で子供のようにはしゃぐ。
いつかの俺も、樹里と同じ感想をここで思っていたっけな。
「なんかさぁ…あたし、もうこのまま死んでもいいくらい幸せだよ…最っ高の誕生日!!」
目じりに光の粒を滲ませながら、笑顔でそういう樹里。
また、俺の心の奥がキュンと締め付けられる。
「ねぇ、キスしよっか」
もうすぐ、頂上――――。
観覧車の頂上でキスをするのは恋人同士のお約束だな。
俺はそんな事を思いながら、樹里に唇を重ねた。