君色
何と無く気まずくて俺はそこから目線を反らすために顔を上げた。



するとそこには――。





「うわあぁっ!!!!」





いるはずのない、見知った顔が不吉な微笑みを浮かべながら俺を見上げていた…。


悲鳴と同時に後ずさった俺は、足元を狂わせ後ろへ倒れ込む。



「はぁ!?ちょー失礼じゃない!?」



ホッ…。


樹里の姿が見えた途端、俺は安心して胸をなでおろした。




その反面―…。


俺の中に決して救われる事のない罪の意識が潜んでいる事も認めざるを得なかった…。



俺は…お前に恨まれているのか…?



俺を置いていったのはお前の方なのに―――…


それでも俺だけ幸せになるのが、許せないんだ――…。

だから、こんな幻みたいなものを見せるんだろ…?




俺がお前の事を

決して忘れないように――――――――。


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