君色


「あっ★発見♪」

あたしの一日は初日から大注目(特に女子)を集めた転入生の観察から始まる。

女子が群れをなして彼にまとわりついてる為に遠くからしか観察出来ないけど、このミニ望遠鏡が心強い味方になってくれている。


そんなあたしに呆れた視線を送りながら

「好きだねぇあんたも」

と溜め息をつくこの彼女。
山本日向。

これでも一応あたしの親友なのです。



「あのっ…須往くんっ」



教室手前で転入生に一人の女子が声をかけた。
小柄で可愛らしい子だ。


「おっと〜転入生が女子に声かけられました!いきなりの告白か?!さぁどうする転入生!!」

「あんたは競馬の中継アナウンサーか」


と言いつつ、あたしと日向の関心は高まり、視線を二人に集中させた。


「あの…これ、受け取って下さい!」

その子の手の中にはピンク色の小さい包みが握られている。
おそらく手作りのお菓子か何かだろう。
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