君色
いやだ。

この空気、なんだかいやだ。



今日はあたしの誕生日だよ?


他の事考えないでよ…。


あたしだけを見て?



北斗が好きかなって思って、一生懸命オシャレしたよ?

慣れない服着て、慣れない靴を履いて、頑張ったのに…


「ねぇ、誕生日プレゼントちょうだい?」

「えっ…?あ、ごめん…何も用意でき……」


あたしは、北斗の言葉を全部聞き終わる前に彼の唇を塞いだ。



北斗は何事かと、パックリと口を開けて、目を見開いたままこっちを見ている。



「言ったでしょ?プレゼントは北斗がいいって」



北斗は、戸惑った様子で顔を背けた。

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