君色


そんな願いもむなしく、エンドロールはあっけなく終わってしまう。


そして、あたしたちもあっけなく別れを告げて別々に帰路についたのだった。



なんの惜しみもなく帰っていく須往の後ろ姿をみると少しだけ悔しくなった。



ちょっとも何も感じなかったのかよっ。



あたしだけドキドキしたりして馬鹿みたい。


あたしは芽生えかけた言いようの無い感情にその場で蓋をして鍵をかけた。



めんどくさいのはごめんだ。

カッコ悪いのも

傷付くのも嫌だから。



今のうちに封印しておこう。

引き返せなくなる前に…。
< 22 / 270 >

この作品をシェア

pagetop