君色
「元気ないじゃん。どうしたのー?」
「いや…そんな事ないよ」
若干雰囲気に呑まれ気味のあたしに、黒江くんという人が話しかけてきた。
なんていうか…名前の通り凄く黒い人だ。
焼けた肌に金色のピアスとシルバーのアクセがよく映えている。
「ねぇ、それって地黒?」
「あはは、そんな訳ないじゃんー。この近くの日サロに週2くらいで通ってるんだー」
あっそ…。
つーか黒すぎ。
お前は土偶か!!
「樹里ちゃんだよね?凄い可愛いよねー!ぶっちゃけ俺ちょー好みなんだけど」
全くもって嬉しくねーーーーーーーーーーーーー!!
「ははは…そうなんだぁ」
「ねぇねぇ、どんな人がタイプなのー?」
お前と正反対の男だよ!!
「そうだなぁ…優しい人?かな?」
「俺ちょー優しいよ!!マジ今度デートしよーよ!」
うわっ何その根拠の無いアピール!
デートとか絶対的に無理!!リアルに無理!!
「ねー、携帯の番号…「あっ!!ちょっとあたしトイレっ!!!」
あたしは勢いよく席から立ち上がり、慌てて部屋の外に出た。