君色
「そうだね…」
純平君は、差し伸べていた手を引っ込めた。
「何もしないから、こっちおいで」
あたしは純平君の言葉を信じて、恐る恐るベッドの上に上がると、向かい合うように横たわる。
そして、彼はあたしの頭の下に自分の腕を差し込んだ。
「…このくらいなら、セーフだよね…?」
悪戯に笑う彼の笑顔を見たら
悲しくもないのに涙が流れた。
「人の温もりって、あったかいね…。」
純平君は、右手をあたしの頬にそっと添え、目尻を親指で優しくなぞる。
どうして今隣にいるのは北斗じゃないのかな…。
あたし達、何処で道を間違ったんだろうね…?
明日からは、ちゃんと前に進むから…。
だから、今夜だけは…
北斗の事を想って泣いてしまうあたしを、どうか咎めないで欲しいよ…。