君色
「精神科の先生が言うには、幻覚っていうものは人の潜在意識から生まれるものが殆どで、そういう人は大体何かしらのトラウマを持ってる事が多いらしいんだ」

「ちょ…ちょっと待って!!頭がこんがらがってきた…」


つまり、北斗は毎日まどかの幻覚にうなされてて

でもそれは、心のどこかで思ってることかもしれなくて

もしかしたらトラウマになってるかもしれなくて…?



ってなんか自分で言ってて意味がわかんなくなってきたっ…!!



あたしがグルグル目を回しながらあたふたしていると、



「はぁ…」


と中野がため息をついた。


「こんな話、普通わかんないよな…。」


そうだよ。
分かるわけないよ…。

なんでそんな風になっちゃうの?


別れて辛かったのは…北斗だけじゃないのに。

あたしだって凄く凄く…辛かったのに。


でも…

あたし、怖かったよ。

病室に入った時、あたしの知らない北斗がいたんだもん…。


幻覚とかトラウマとか
あたしにはよく分からないけどさぁ…


でもきっと、

それって凄く、苦しい事なんだよね?


逃げ出しちゃいたいくらい、辛い事なんでしょう?

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