君色
「全部吐き出しちゃおうよ!溜め込んでること。きっと、まどかは聞いてくれてるよ?」

「……………」



今さら…何を言えと言うのだろう。


今ここに円がいたら、俺は何て言葉をかけるのかな…。




「あたし、お花買ってくるね」




樹里がそう言って花屋に走った後、俺は行き交う車達をボーッと何台も見送っていた。



言いたい事なんて…見つからない。


頭に浮かんでくる言葉は、謝罪の言葉ばかりで

つくづく自分の不器用さに嫌気がさした。


そんな言葉は、とうの昔に言い飽きるほど、心の中で使い古したよ。





俺の頬を無意識の涙が伝っていく。


「ごめん…」




「ごめんな…」



結局、俺はこんなことしかあいつに言えなかった。


言いたい事や、聞きたい事、伝えたい事は山ほどあるはずなのに…

どうしてこんな言葉しか、選べなかったんだろうな。
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