君色
先程からパニック状態でろくに言葉を発する事ができない俺を見て

彼女はからかうように、でも真剣な表情で続けた。


―どぉせあたしがいなくて寂しくてわんわん泣いてたんだろ~!?


その顔!!


そんな顔ばかりされてたら…あたし心配で空に逝けないよ―



「………………」



俺のワガママのせいで…

人生を諦めなければならなくなってしまったのに



自分の事より


こんな俺の事を心配してくれるんだな…。



なのに俺は…




「俺は…お前に恨まれてるかと思ってた…」




最低だ…。


勝手にいじけて
勝手に思いつめて




本当にバカだよな…。



ちょっと考えればわかった事…。

大切なものは、いつだってすぐそばにあったのに…。

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