君色
「お花買ってきたよー」



樹里がお供え用の花を抱えて戻って来た。


信号機の根本とガードレールの間にそれをちょこんと添えて、俺達は手を併せる。



「帰るか」

「もういいの?」

「うん」




ふと見上げた空は

雲一つなくて

空の上の国からは

きっと俺達の事がよく見えてるんだろう。




俺の心は

この空のように、とても穏やかだった。




「あ~!あんた、また泣いてたんでしょー?やーい!泣き虫北斗~!」



樹里が俺の頬を人差し指でつつきながらからかって来る。



「うっせ!!黙れハゲ!!」

「は!?ハゲてねぇし!!」


軽く頬を染めながら俺は顔を背けた。

< 266 / 270 >

この作品をシェア

pagetop