君色


『瓦坂〜瓦坂〜お忘れ物にご注意ください』


あ、もう着いた。


駅を降りると、数ヵ月前となんら変わらない姿のショッピングモールやレジャースペースが俺を迎えてくれた。

相変わらずカップルや子供連れの親子で溢れている。


「さすがに人がいっぱいだね…」


これでもまだ空いている方だ。

ひどい時なんかまっすぐ歩けないくらい人でごったがえしているのだから。


とりあえず俺達は目的地であるカフェに足を運んだが、当然すんなり入れる訳もなく…



「今ですと一時間待ちですね」



と可愛い制服に身を包んだ店員さんが悪気のない笑顔で言った。



「予約しといて一時間後に戻ってこようよ」

またしてもコイツは勝手にそう決めて、予約リストに手早く名前を書き込むと、再び俺を連れ回す。
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