君色
「あれ乗ろうよ」
市川が指を差したのはこの町のシンボルでもある巨大観覧車。
頂上に達すると、この町を一望できる絶景のポイントを押さえている事で人気を誇っていた。
「これ乗ったらちょうどいいくらいだよきっと」
市川はそう言いながら列の最後尾に並んだ。
ま、いっか。
俺は何気なくその巨大な観覧車を見上げた。
これに乗るのはどれくらいぶりだろう…?
もう…二年も経つか――――…
最後にここへ来た日は確か雨が降っていて
初めて――――…
―須往っ!―
はっ。
意識が戻ると俺はキョロキョロとあたりを見回した。
しかし、俺が探している姿は何処にも見当たらない。
当たり前か…。
俺は諦めておとなしく順番を待つことにした。