君色


―見て見てっ!凄い綺麗!!こうゆう景色見てるとさ、あたしらなんてミジンコみたいに思えてくるねっ―


気のせいなんかじゃない。

確かに声が聞こえる。



「……か…」

「え?何か言った?」


市川が不思議そうな顔して俺を見上げた。



「こ、これやめようぜ」

「は?!」

「考えてみたら俺は高所恐怖症なんだよ」




でも…


結局、どこへ行っても
何を見ても

その声は俺につきまとった。



怒ってるのか…?


俺がお前以外を連れて歩いている事に…。
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