君色


「市川」


担任があたしの名前を呼んだ。


「はい?」

「須往に今日の課題とこの書類を届けてやってくれるか」

「はい!?」


なんであたしが…。


「お前も心配だろう?ついでに様子を見て来るといい」


あぁ…。

そうだった。


ここじゃあたし達は公認カップルだった…。


嘘の恋人だったけど、付き合い始めてからあたし達の噂はあっと言う間に校内中に広がってったんだっけ。



―昼休み―



「須往どうしちゃったんだろうね」


日向が悪気なくその話題を持ち出して来た。


「さぁ。最近音信不通だし!中野は何も聞いてないの?」

「いや?聞いてない」


この中野という男は、北斗と仲がよく、小学校からのくされ縁らしい。


あたしが北斗と付き合い始めてからは、こうして四人で昼休みを過ごすのが日課になっていた。
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