君色
「ここかぁ…」
随分いいマンションに住んでるんだなぁ。
あたしは、今朝担任頼まれた課題と書類を北斗の家に届けるために今こうしてここにいるのだが…
やっぱりアイツは金持ちだ。
目の前のこの建物は高級マンションとしかいいようがなかった。
オートロックの入り口の前で何度も呼び出しをかけるが一向に応答する気配が無い。
え!?留守!?
やっぱりただのサボりだったのかな…?
入り口前でおろおろしているとマンションの住人らしい人が現れた。
30代後半くらいの優しそうなおばさんで、あたしと目があうとニコッと笑って会釈をしてくれた。
あたしもつられて会釈を返す。
おばさんがオートロックを解除してくれたので、それに紛れてあたしもマンションの中へと入る事が出来たのだった。