君色
やっぱり広いなぁ。
けれどあまり生活感がある部屋とは言えなかった。
そこから察するに、やっぱり北斗は独り暮らしをしているんだろう。
あたしがリビングのテーブルに頼まれた物を置こうとした瞬間、奥の部屋に人影を発見した。
「北斗?」
いるなら出ろよ!
いると分かれば遠慮はいらない。
あたしはズカズカと奥の部屋へ入って行った。
「!!」
確かに北斗の姿はそこにあったけれど、彼はあたしの想像をはるかに越えた形で目の前に現れたのだった。
「ちょっと…大丈夫!?」
北斗は呼吸を荒げて苦しそうに床に横たわっている。
あたしはすぐに彼をベッドまで運び、冷水で絞ったタオルを額にのせてあげた。
「酷い熱…」
こんな状態のまま放っておけるずもなく、あたしはもう暫く北斗についていてあげることにした。